できたら一発で…

最近、録音・編集の現場でよく驚くこと。
それは、クライアントの皆さんの知識の豊富なこと。
音楽のこと、演奏のことなら当たり前ですが、
編集技術のことなんかも 詳しい方が多いですね。
ま、これだけパソコンや編集ソフトがお手頃な値段で買えるご時世ですから。
それはそれで良いんですが。


ちょっと気になるのが、「あとで直しといて」の一言。
えぇ。
出来るんですよ。
ピッチ(音程)の修正も、ミスった箇所の切り貼りも。
極端に言えば、言ってないセリフを偽造することも…
(それが出来るから”プロ”なんですが)

ただね。
あんまり何気なく言われると、ちょっと心配になってしまいます。
プレイやーとしての責任っていうか、自覚っていうか。
レストランでローストビーフを注文して、「ごめん、焼き加減ミスったからやり直します。もうちょっと待ってね」
なんて言われたらどうします?
もうそんな店行かないし、その店のシェフはプロ失格でしょ。

録音屋としては、もちろん若干の手直し・修正はしますよ。
ただ、最初から”あとで直す”ことを前提に考えて、録音に臨むっていうのもちょっと変じゃないですかねぇ?
これ、偏屈でしょうか?
へ理屈でしょうか?


とか言いながら。
自分自身もちょこっと曲を作ってみたりするんですが。
そういう録音のときは自らのミスを、自らの持っている最高の技術で修正したりするんです・・・
(何だそれ…!)

でも!
やっぱり、「よっしゃ、このワンテイク!」って気合入れて録った音ってのは、
自然といい演奏になるもんだと思うんです。
「次こそ!」って、神にも祈るような想いで演奏すれば、
きっと編集で切り貼りだらけになった音とは、何かが違う仕上がりになると思いますよ。


そう。

たまにはバンド仲間の冷たい視線も無視して。
できたら今夜は一発で…

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